Post
Impressionism

ポスト印象派

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  • ポスト印象派

    ポスト印象派©Pump Park Vintage Photography/Alamy/amanaimages

    既存の美術界に反旗を翻し、絵画の世界に革命を起こした 印象派。その誕生から12年が経った1886年のパリで、第8回印象派展が開催される。 メンバー内での意見の対立や、新しい画家たちの台頭により、結果的に最後の印象派グループ展となったこの年、 オランダからパリへ、まだ無名の画家がやってくる。彼の名はフィンセント・ファン・ゴッホ。 印象派絵画をそれぞれのやり方で発展させた画家たちの時代、「ポスト印象派」の始まりである。

  • ジョルジュ・スーラ
    『グランド・ジャット島の日曜日の午後』

    『グランド・ジャット島の日曜日の午後』©Bridgeman Images/amanaimages

    印象派は、絵の具を混ぜずに細かい筆致を重ねていった。スーラはその手法をさらに推し進め、筆のタッチを「点」にまで突き詰めた。
    そして、当時確立された補色などの科学的色彩理論を取り入れ、より鮮やかに色を表現しようとした。
    スーラとシニャックによる点描画は大きな話題となる一方で、モネやルノワールの反発を招き、印象派解体の原因の一つともなった。

  • ポール・セザンヌ
    『サント・ヴィクトワール山』

    『サント・ヴィクトワール山』©Bridgeman Images/amanaimages

    印象派の「光と色」に対し、セザンヌは「形」に注目し、自然を円筒・球体・円錐に分解して表現し、絵画の新しい地平を開く。
    このアプローチはピカソをはじめとした次世代の画家たちに影響を与え、キュビスムへと発展していくことになる。
    偏屈な性格で他の画家とあまり交流を持たなかったセザンヌだが、後に「近代絵画の父」と呼ばれるようになった。

  • ポール・ゴーガン
    『説教のあとの幻影』

    『説教あとの幻影』©Bridgeman Images/amanaimages

    印象派は目に見えるものの「印象」を描いた。
    それに対しゴーガンは新しい軸を打ち出した。
    明快な造形表現と、目に見えるものと、画家の内面。
    これらを絵に共存させる「総合主義」を唱えたのである。
    輪郭を線で縁取り、中を塗りつぶすクロワゾニスムという手法から始まり、タヒチの土地に根ざした文化にキリスト教的モチーフを取り入れた独自の道を進んでいった。

  • フィンセント・ファン・ゴッホ
    『星月夜』

    『星月夜』©Bridgeman Images/amanaimages

    ゴッホは印象派から「色」の影響を受け、一時期スーラの点描にも挑戦した。さらにゴーガンとの共同生活を経て、独自の表現にたどり着いた。
    それは、眼前の風景を強い色と筆致で描いていく「感情の絵画」。
    黄色い星、渦巻く夜景、うねる糸杉。
    ゴッホの見た景色は、激しい感情を伴って力強い絵画へと昇華する。不遇な運命に翻弄された彼の魂が、見る者の心を揺さぶる名画となって残された。

  • 坂上 桂子

    坂上 桂子 サカガミケイコ

    東京都生まれ。早稲田大学教授。専門は近現代アート。主な著作『ジョルジュ・スーラ 点描のモデルニテ』(ブリュッケ)、『ベルト・モリゾ ある女性画家の生きた近代』(小学館)等。

    ゴッホ、スーラ、ゴーガン、セザンヌ。これらの画家たちは、ポスト印象派と呼ばれる、「印象派のあと」に登場した画家たちです。彼らは、印象派に学びながらも、印象派を超えて、新しい世界観や価値観を創造しました。ゴッホはぐるぐると渦巻く空や天体を、まるで生き物のように描き出しました。スーラはきらきらと目にまばゆい光の粒子をひとつひとつ逃さずに捉えています。ゴーガンは「見えるまま」の色ではなく、自分が好きな色で風景を彩りました。セザンヌはさまざまな角度から対象を見ては、各視点を重ね合わせるように、カンヴァスに描きとめています。ポスト印象派の画家たちは自分が見ている世界を、独自の技法を駆使して、自由に再現したのでした。イマーシブミュージアムでは、現代のテクノロジーによって、これらの画家たちが見出だした独特な世界へと私たちをいざなってくれます。皆さんには、ゴッホが見たダイナミックに揺れ動く天空、スーラが体験した繊細な光の粒子が舞う空間、ゴーガンが見た色鮮やかな南国の情景などを、ぜひ追体験してみてもらえればと思います。同時にここでは、ポスト印象派の作品を現代的に解釈した、映像による新たな世界観をも楽しんでいただければ幸いです。

  • Your Portrait by Vincent van Gogh

    今回のインタラクティブエリアではゴッホがあなたの肖像画を描いてくれます。ゴッホ自身の肖像画とゲスト用の真っ白なキャンバスが横に並び、その前に椅子が置かれています。ゲストが椅子に座るとセンサーがゲストの顔や位置を認識、するとゴッホの肖像画が動き出し、おもむろに描き始めます。真っ白なキャンバスが背景から塗られ、色が重なっていきゲストの姿が徐々に描き上がっていきます。

    またAI機能を活用し過去のゴッホ作品のカラーパターンを採用、さらにゴッホならではの筆のタッチも再現いたします。もしもゴッホが現代に存在したら?を思わせる世界にひとつの肖像画が完成します。

    ※本展示の体験料は1回あたり500円(税込)です。出来上がった画像はQRコードにてダウンロードが可能です。

    installation

    Curated By ETERNAL Art Space

    デジタルインスタレーション、オーディオビジュアルショーケースなど、革新的な体験価値を提供する
    ”ETERNAL Art Space”がキュレーションする最先端のデジタルコンテンツ2作品を上映。

    Noesis

    #06 Universal Architecture

    superSymmetry(JP)

    上映予定:
    2023年7月7日(金)〜 8月31日(木)

    Noesis

    メディアアーティストの山本信一、Intercity-Express名義で活動する音楽家大野哲二、クリエイティブテクノロジスト瀬賀誠一が参加するクリエイティブレーベルsuperSymmetry(スーパーシンメトリー)のマスターピース的オーディオビジュアル作品「Noesis」。
    2017年のMUTEK.JPで会場となった日本科学未来館のドームシアターガイアでプレミア公開されてから、モントリオール、メキシコ、ベルギー、サウジアラビア、などで公開され、現在までアップデートし続けている。ドームだけでなく3Dスクリーン、VR、球体ディスプレイ、ホワイトキューブ、とヴェニューにあわせたバージョンを発表してきた。科学・哲学の可視化をテーマにした7章からなる30分の本作のうち、熱力学の科学法則をイメージしたトラック#06 Universal Architectureをイマーシブミュージアム用に再構成した。無数のランダムに舞うパーティクルが、カオスからやがて法則性をもちそして平均化し終焉を迎える。

    Joy

    Saeko Ehara, Shuta Yasukochi(JP)

    上映予定:
    2023年9月1日(金)〜 10月29日(日)

    ※こちらのイメージは作家の過去作品のものです。joy

    アーティスト・VJのSaeko EharaとサウンドアーティストのShuta Yasukochiによる作品「Joy」。
    時代が大きく変化した産業革命以降に生まれたポスト印象派。そのスタイルは非常に独創的で唯一無二です。私たちが生きる現代でも、新型コロナウィルスの影響で大きな変化を受け、その生活は大きく変わりました。アートの世界でも、Web3、ブロックチェーン、NFT、AIなど様々な変化が続いています。
    本作品では、AIとジェネラティブアートにより、ポスト印象派を現代の新しい形に再構成します。
    この表現手法は、自身の原点となる油絵から、敬意を込めて巨匠の作品をAIで再生成し、ジェネラティブな要素を加えることで、歴史の文脈から新しい表現ができるのではないかと続けています。
    ポスト印象派の芸術家が過ごした19世紀後半と現在。共通項は「大きな時代の変化」を経験したこと。
    本作品では、時代の変化の中で新しいスタイルを確立したポスト印象派の芸術家に倣い、テクノロジーを使用して独自の発想でポスト印象派を、そして彼らの表現に対する情熱や挑戦する喜びも表現したいと考えています。